センチュリーインタビュー

“つながり”を大切に、秋の味覚を届ける。

100周年事業のコンセプトである「ひらめき×つながり」をテーマに、ご縁ある仕入れ先さまや、お客様へのインタビューを通じて、栗赤飯の魅力や秘密を様々な角度から紐解いて参ります。第4回目となる今回は「栗赤飯」に欠かすことのできない丹波栗を取り扱っておられる、木曽佐太郎商店さまへのインタビューです。京都の秋を食の代名詞的存在である丹波栗の現在の状況や、お仕事への意気込みなど語って頂きました。
(取材日:2024.09.04

記者:本当に毎年お世話になってます。
木曽:ありがとうございます。

記者まずせっかくなので、木曽さんのお仕事について簡単にお聞かせいただけますでしょうか?
木曽:弊社、木曽佐太郎商店は加工丹波栗を専門に扱っている会社です。創業は戦後すぐですので、もうかれこれ半世紀以上いまのお仕事をさせて頂いています。ちなみに、私の父が創業者で、屋号も父の名前が由来になります。

記者:丹波栗専門とのことで非常にニッチなお仕事かと思います。創業当時からそのような業態だったのでしょうか?
木曽:実は、開業当初は栗だけではなく山芋やその他の野菜など丹波エリアの産品を卸していたそうです。元々は、私の父が戦前に中央の卸市場で働いていたのがそもそもの始まりで、そこから独立するような形で事業を始めたと聞いています。

記者:そうなんですね! 木曽さんといえば栗のイメージが強いので驚きました。
木曽:そうですね。かなり早い段階から「京都丹波くり加工舎」として今の業態に切り替えたようですので、知らない方の方が多いと思います。

記者:木曽さんご自身はいつから、今のお仕事に入られたんでしょうか?
木曽:高校を卒業して、そのまますぐに入りました。経理学校に通っていたんですが、通いながら家を手伝っていたので、実際仕事に関わり始めたのも18歳くらいからですね。その時くらいに初めて、鳴海餅本店さんへお伺いさせて頂きました。今私は77になりますが、丸60年ほどお付き合いさせて頂いてる計算になりますね。

記者:栗赤飯が今年100年ですので、この歴史はもはや木曽さんありきとも言えますね。
木曽:ありがとうございます。そう言っていただけると恐縮です。私がお伺いし始めた頃は、3代目さんも、4代目さんもおられましたし、今の社長の結婚式にも呼んで頂いたりもしました。懐かしい話です。

記者:創業当初から丹波栗に関わってこられたわけですが、その中で変化を感じられる部分はありますか?
木曽:まず間違いなく気候は大きく変わってきてます。それに合わせて栗の集荷の波もどんどん後ろにズレていますね。日中は勿論なんですが、特に夜の温度が高い日が多いとどうしても栗の実が熟しにくくなって、落ちてこない。栗は他の果樹のようにもぎって収穫することができないので、ここのコントロールがだんだんと難しくなってきています。産地も北の方に少し移動しているかなとも感じます。

記者:弊社もそうですが、逆にお客様の要望はどんどん早くなって来てますね。
木曽:そうなんです。なんとかご迷惑をおかけしないように頑張っていますが、こればっかりは早生の品種を植えてもすぐには効果がでませんのでね。難しい問題です。

記者:昨今、どの業界でも人手不足のお話しが出ていますが、そのあたりはどうでしょうか?
木曽:そうですね。まず、弊社の話でいくと、これまで人手で剥いていた工程を数年前から機械に変えました。ここは明確に変わりましたね。本当に廃業を考えるくらいだったので。最終的にお客様にご了承を頂いた上で、導入しましたが劇的に変わりましたね。今までは100kg剥こうと思ったらかなりの人手が必要だったので、品質もかえって安定しましたし、細かい要望にも応えられるように頑張っています。

記者:品質的な傾向はどうでしょうか?甘みが落ちているとか、固くなってきているとか。変化はありますでしょうか?
木曽:そういうのはあまり感じませんね。年によっての差はあるかも知れませんが、品質は大丈夫だと思います。むしろ目に見えて収穫量が非常に不安定になっているなとは思います。

記者:理由は何なのでしょうか?やはり農家さんの担い手不足などでしょうか?
木曽:そうですね、先ほども申しましたが、やっぱり天候ですね。あと意外なんですが、農家さんはそこまで変わって無いんです。だんだんと代替わりが進んでまして、今まで作っておられた農家さんの子供さんの世代。私よりちょっと下の世代が都会から戻ってきて、後を継がれるケースが増えてるんです。

記者:それは意外ですね。ある意味、安心材料でしょうか?
木曽:そこは安心材料ですね。良い関係性が継続できるわけですから。ただ、丹波栗自体が段々と貴重な物になって来ているのは事実です。そもそも、栗市場全体の割合としては小さいものですので。

記者:そこをカバーするのが「産地や生産者との強いつながり」というわけですね。
木曽:まさにその通りです。

記者:ちなみに、実際のところ今年の出来はどういった感じになりそうでしょうか?
木曽:そうですね、あくまで私の感覚ですけれども、なんとか近日中にはお納めできると思います。(この1週間後に納品が始まりました)品質も同じくらいじゃないかと思います。丹波はもうある程度は大丈夫だと思いますよ。

記者:それを聞くことができて、少しホッとしました。
木曽:実際、今日くらいからやっと集荷が始まってまして、まだ小ぶりなものが多い状態ですけれど、ギリギリ間に合うと思います。

この日入荷したてホヤホヤ、今年一番の丹波栗

記者:最後、読者の皆様にひとことお願いします。
木曽:それはもう、間違いの無い品物を納めさせて頂いていますので、ぜひ鳴海さんの栗赤飯を通じて秋の味覚を楽しんで頂ければ幸いです。

記者:本日はありがとうございました。弊社もご期待に添えるよう頑張ります。
木曽:ありがとうございました。こちらこそ今後ともよろしくお願いします。


プロフィール
木曽 秀和(きそ ひでかず)
経歴:経理学校を卒業後、木曽佐太郎商店に入社。以来半世紀以上にわたり丹波栗の仕入れ加工に携わる。「”つながり”を大切に」

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